屋根のリフォーム方法~カバー工法のメリット・デメリットとは?~
屋根リフォームの工法といえば、「屋根葺(ふ)き替え工事」と「屋根カバー工法」の2種類があります。それぞれ既存の屋根との相性やメリット・デメリットがあるので、慎重に選ばなければなりません。中でも、近年注目されているのが重ね葺(ぶ)きとも呼ばれている「カバー工法」です。しかし、人気があるからとカバー工法がどういう工事かも分からずに業者へ依頼し、失敗したというケースが増えています。失敗しないためには、どんな屋根の工事なのか具体的に知ることが大切です。そこで、本記事では、屋根のカバー工法について解説します。
- 屋根のカバー工法とは?
- カバー工法がおすすめのケース
- 屋根のカバー工法のタイミングは?
- 屋根のカバー工法の方法
- 屋根のカバー工法に関してよくある質問
この記事を読むことで、屋根のカバー工法の方法とタイミングが分かります。検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1.屋根のカバー工法とは?
まずは、屋根のリフォームに用いられるカバー工法がどのようなものなのか説明します。メリット・デメリットを知ることで、理想的な屋根に仕上がるでしょう。
1-1.カバー工法とは
別名・重ね葺きとも呼ばれているのが「カバー工法」です。既存の屋根を撤去せずに、その上から新しい屋根材をかぶせるリフォーム工事となります。屋根だけでなく、窓枠・扉などさまざまな用途で使用されている工法です。既存の屋根を撤去する時間が短縮できるため、スピーディーな作業が特徴といえるでしょう。屋根のリフォームに使用する場合は、元の屋根をそのまま残し、上から新しい屋根材をかぶせておおうため、二重になるわけです。
1-2.どんなメリットがあるのか
既存の屋根の解体にかかる費用が節約できる点が、カバー工法の大きなメリットといえます。廃材が出ないため、解体だけでなく処分費用もかかりません。あくまで目安ですが、屋根カバー工法の費用は、足場代を含め80万~250万円ほどです。既存の屋根材を撤去する葺き替え工法は、150万~300万円以上かかる可能性があります。また、葺き替え工法よりも工期が短いので、その分の費用が浮き、普段の生活にほぼ影響が出ないのもメリットの1つです。
1-3.デメリットは?
カバー工法のデメリットは、屋根材の種類と屋根の状況によっては、採用できないケースもあることです。たとえば、瓦屋根にカバー工法は向いていません。具体的な内容については、後ほど【2-2.ほかの工法がよいケース】について説明するのでチェックしてください。
また、既存の屋根の下地が傷んでいた場合は、補修が必要です。補修せずにカバー工法を行うと、耐久性が低くなるため、水漏れが発生したり、地震で壊れやすい屋根となってしまいます。さらに、屋根の重量増加につながる可能性があるのも、デメリットの1つです。
2.カバー工法がおすすめのケース
カバー工法が適しているのは、どのようなケースなのでしょうか。誤った工法を採用しないためにも、ぜひチェックしてください。
2-1.カバー工法がおすすめのケースは?
屋根の塗り替えでは、十分な修理ができない場合にカバー工法が使われるでしょう。下地が傷んでいる場合は葺き替え工法となりますが、下地に傷みがない場合はカバー工法で十分です。屋根材の表面にあるサビ・ひびが気になる方は、カバー工法をおすすめします。
また、今と異なる屋根材にしたい場合や、屋根材のアスベストが気になるという場合にも最適な工法です。アスベストを含む屋根材をおおうことができるため、アスベスト対策になります。
さらに、断熱性・遮音性を向上させたい場合もおすすめです。屋根が二重になるので夏の暑さと冬の寒さをやわらげ、雨の音が室内に響くことを軽減できるでしょう。
2-2.ほかの工法がよいケースは?
前述したとおり、カバー工法ができない屋根材があります。それは、瓦屋根と波形スレートタイプです。瓦屋根と波形スレートは、どちらとも平らな屋根とはいえません。カバー工法が可能な屋根は、表面が平らであるかどうかがポイントです。たとえば、平形スレート・金属屋根は平らになっているのでカバー工法が採用できます。
また、屋根の下地が傷んでいる場合は、補修が必要なので既存の屋根を撤去しなければなりません。カバー工法ではなく、葺き替え工法を選択したほうがよいでしょう。
3.屋根のカバー工法のタイミングは?
屋根の工事をすぐにすべき場合とチェックリスト、カバー工法の耐用年数について説明します。
3-1.すぐに工事すべき場合とは?
屋根は定期的にリフォームが必要だといわれています。特に、屋根材の表面のひび割れ・カビや苔(こけ)が発生している場合は、すぐに工事しなければなりません。ひび割れが軽症なら、カバー工法で補うことができるでしょう。しかし、メンテナンスをせずに放置すると、状態が悪化し、下地にまで悪影響が出てしまいます。カバー工法ではなく、葺き替えが必要になるので費用がかさむことになるでしょう。また、釘が浮いている場合も、すぐに工事すべき状態です。
3-2.チェックリスト
リフォーム前に、現在の屋根がどのような状態なのかチェックしておきましょう。
- 雨漏りがしている
- 部屋が湿っぽい
- 屋根にソーラー・室外機が置いてある
- 天井や壁にシミがある
- 今までに屋根の点検・補修をしたことがない
- 屋根材にひび割れ・ズレ・たわみがある
- 屋根材が変色している
- 屋根材にサビが発生している
以上の項目に当てはまるケースは、早めのメンテナンスをおすすめします。ただし、無理にチェックしようと屋根にのぼるのは危険です。すべって転落するなど大ケガをするおそれがあります。自分でチェックできない場所は、業者に調査してもらうとよいでしょう。
3-3.耐用年数について
屋根の耐用年数は、屋根材によって異なります。参考として、代表的な屋根材の耐用年数を、以下にピックアップしてみました。
- スレート屋根/塗装:約10年、葺き替え・カバー工法:約20~25年
- 金属屋根/塗装:約10年、葺き替え・カバー工法:約15~20年
また、前述したチェックリストの症状が現れたときもメンテナンスを行うべき時期です。メンテナンス時期が近づいてきたころは、念入りに状態をチェックしておいたほうがよいでしょう。
4.屋根のカバー工法の方法
それでは、屋根のカバー工法の具体的な方法と流れ、工期・費用について説明します。どのリフォーム業者に依頼すべきか悩んでいる方も、ぜひチェックしてください。
4-1.カバー工法の流れ
大まかなカバー工法の流れは以下のとおりです。
- リフォーム業者のホームページまたは電話で無料見積もり・無料診断を依頼する
- 業者スタッフがやってきて、屋根の状態を確認する
- カバー工法の費用に納得した後、契約を交わして工事日を決める
- 工事日当日、屋根の中心になっている棟板金を取りはずす
- 棟板金を撤去した屋根の上に、防水シートを敷(し)く
- 新しい屋根材を軒先から設置していく
- 屋根材の設置後、棟板金を取りつける
- 板金同市の合わせ目部分にコーキングを施して完了
カバー工法は屋根材が二重になるので重くなりがちです。そのため、新しい屋根材には、ガルバリウム鋼板などの比較的軽い屋根材を使用することになります。具体的な工法と流れはリフォーム業者によって異なるため、契約前に具体的な流れと方法をきちんと確認してくださいね。
4-2.工期・費用について
既存の屋根を撤去する必要がないため、カバー工法は部分的なリフォームだと最短1日で終わるリフォーム工事です。ただし、屋根の大きさ・形・勾配(こうばい)・劣化状況・現場条件などで工期が延びる可能性があります。屋根のリフォームの平均工期は、約1週間と考えたほうがよいでしょう。前述したように、費用は約80万~250万円です。葺き替え工事よりも安く抑えられる点はメリットですが、補修が必要な場合はもっとかかる可能性があります。具体的な費用を知りたい場合は、無料診断を利用し、業者の無料見積もりを依頼しましょう。
4-3.リフォーム業者の選び方
リフォーム工事は、最も手抜きしやすい工事といわれています。そのため、悪徳業者とのトラブルも続出しているのが現状です。満足できる屋根にするためには、リフォーム業者選びのポイントを把握しておかなければなりません。業者選びに悩んだときは、以下のポイントをチェックしてください。
- リフォームの実績があるか
- スタッフの対応が丁寧で、親身になって話を聞いてくれるか
- 要望を聞き入れつつ、適切なアドバイスをしてくれるか
- 低費用かつ高品質のリフォームができるか
- 無料相談・無料見積もりを行っているか
- 施工事例がホームページに記載されているか
- 小さなリフォームからトータルリフォームまで行っている
低コストで安心&快適なリフォームを行っている「藤ノ家」では、どのようなことでも無料相談を受けつけています。屋根のカバー工法の悩みがある方も、ぜひ1度ご相談ください。
4-4.注意点
「見積書に記載されていない追加料金を請求された」「工事後に不具合が起きた」など、業者との間でトラブルが続出しています。すべてのリフォーム業者が優良業者ではないことを、知っておかなければなりません。そうすれば、最初から1社だけにしぼらず、複数の業者を比較し、優良業者と悪徳業者を見極めることができるでしょう。
5.屋根のカバー工法に関してよくある質問
屋根のカバー工法に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.葺き替え工法との違いは? 葺き替え工法のメリット・デメリットが知りたい
A.葺き替え工法は、既存の屋根材をすべて取りはずして新しい屋根材を取りつける工法です。屋根材の劣化・腐敗が激しく、屋根材自体を変えなければならないケースに適しています。葺き替え工法は、新しい屋根材の効果が得られる点がメリットです。しかし、カバー工法の費用が約30坪で70万~90万円前後に対し、葺き替え工事は100万~140万円前後と高額になります。坪数によって金額も異なるので要注意です。屋根の劣化状態を踏まえつつ、カバー工法か、葺き替え工事にするか業者と相談しながら決めてください。
Q.カバー工法のメンテナンス頻度は?
A.カバー工法は、メンテナンスに手間がかからない点も大きなメリットとなります。葺き替え工事のメンテナンス時期は10年前後といわれていますが、カバー工法は約20年前後です。
Q.カバー工法にかかる費用の内訳が知りたい
A.下地・防水シート・新しい屋根材・棟板金・足場・管理費と諸経費が主な内訳となります。新しい屋根材をかぶせる前に、下地を設置しなければなりません。カバー工法に用いられる下地は、野地板・コンパネが一般的です。ただし、場合によっては下地を設置しないこともあるため、費用が大きく異なるでしょう。また、屋根の勾配と周辺の環境に応じて、足場の組み立てが必要になる場合は、足場代が加算されることになります。
Q.塗装とカバー工法、どちらを選択すべきか?
A.下地が傷んでいる場合は葺き替え工法になりますが、傷んでいない場合は塗装またはカバー工法のどちらかを選択することになります。屋根の塗装は10年に1回行うのが一般的です。メンテナンスの頻度を減らしたいという方は、カバー工法をおすすめします。どちらにすべきか悩むときは、リフォーム業者に相談してください。
Q.注意すべき業者の特徴とは?
A.「屋根のリフォームをしたほうがいいです」など、しつこい押し売り営業をしてくるリフォーム業者には気をつけてください。実績のあるリフォーム業者は、押し売り営業を行わずとも依頼者がやってきます。しつこく営業を行うことはないため、押し売り営業をしてくる業者は悪徳業者の可能性が高いといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたか? 屋根の下地が傷んでいない場合は、既存の屋根の上から新しい屋根材をおおいかぶせる「カバー工法」が選択できます。カバー工法は費用が安く工期が短いという特徴をもち、防音性・断熱性の向上効果が期待できる工法です。ただし、平らでない屋根では採用できないというデメリットもあります。丈夫で安心な屋根にリフォームするためには、カバー工法のポイントを押さえることが大切です。また、実績のあるリフォーム業者に相談すれば、より最適なリフォームプランを提案してくれるでしょう。業者選びのポイントを押さえて、安心して依頼できる業者を見つけてくださいね。